ネットにあふれる減量手術体験談
最近、胃スリーブ手術をした女性(仮称Aさん)の動画を頻繁に視聴しています。ご本人は、動画の中で5年で50キロ痩せられたので、後悔はないとおっしゃっていました。ですが、この方の動画を見ていると胃スリーブ手術はメリットよりもデメリットの方が多く、普通にダイエットしたほうが良いのではないかと思えてくるのです。
Aさんの動画の内容をこの記事でまとめてみたいと思います。それでも、胃スリーブ手術をしたいかどうかよく考えてから手術を受けたいものです。
減量手術(胃スリーブ手術)のメリット
胃スリーブ手術の最大のメリットは、やはり「痩せられる」ということです。胃を本来の大きさの2/3くらいまで小さくする手術のため、胃にたくさんの食べ物が入らなくなります。
そのため、あまりたくさん食べられなくなる、あるいは、食べても胃に入りきらずに吐いてしまうため痩せるという仕組みです。
脳は食べたいと思っていても、胃が受け付けない状態にするのが胃スリーブ手術です。手術が終わってからも、医師、管理栄養士、運動トレーナーなどが付いて、数年間に及んでアフターケアをしてもらえるのもメリットの一つだと思います。
減量手術(胃スリーブ手術)のデメリット
ここでは、胃スリーブ手術を行ったAさんの体験談をまとめてみたいと思います。
食べても太らない体になるわけではない
胃スリーブ手術を行ったAさんは、胃を100mlの飲食物しか入らない大きさまで小さくしたそうです。Aさんは手術をして1年目は運動もせず、お菓子なども食べていましたが順調に痩せていたそうです。そして1年目では30キロ、2年目では40キロの減量に成功。ですが、気を緩めた3年目には10キロのリバウンドもしてしまったそうです。
結局3年目で10キロリバウンド、4年目で停滞期が来てしまい、お菓子を食べるのをやめたり、砂糖を使うのをやめたりと、食事制限を始めたそうです。
運動も始め、ジムに通って水泳、水中ウォーキングをし、陸上でのウォーキングも取り入れたそうです。そして残りの2年で20キロ痩せて、トータル50キロ痩せたそうです。
結局、食事制限や運動はしなければならない
Aさんは、胃スリーブ手術をすれば自動的に痩せると勘違いしていたようです。ですが、実際は、上記の通り、食事制限や運動をしないと痩せないのが現実でした。これは通常のダイエットと一緒です。
1年目は胃スリーブ手術のおかげて、運動せず、お菓子も食べて30キロ痩せられたAさん、ですが、リバウンド期を抜けて、停滞期に入った4年目からは食事制限と運動をしても、2年で20キロしか痩せられませんでした。これは1ヶ月に830gしか痩せていない計算、つまり1ヶ月に1キロも痩せていない計算になるのです。
このペースのダイエットなら、正直、胃スリーブ手術をしなくても、一般的なダイエットで痩せられるペースです。
脳は食べたい、胃は食べられないの葛藤
Aさんの体験談では、胃は100mlの容積にちぢめたものの、脳は「デブ脳」つまり、食べたくて食べたくて仕方ない脳のままなので、最初は食べたい欲との戦いだったと述べています。
流動食を食べていなければいけない時期に、焼き鳥を食べたり、サイダー飲んでしまったりして、死にかけた。
Aさんは、自身の著書にこのような内容を書いています。
他の胃スリーブ手術の体験者も、脳は食べたいと思うのに体が受け付けないというギャップにかなり苦しんだとという体験談をネット上に残していたりします。
リバウンドもあり、小太りのままの場合も
上記の通りAさんは胃スリーブ手術で1年で30キロ痩せたAさん。2年目では40キロ以上痩せたのですが、3年目で10キロ近くリバウンドしてしまいました。
胃スリーブ手術をしたら自動的に痩せると思っている方も多いようですが、実際には胃スリーブ手術の効果で痩せるには限界があるようです。その限界以降は、食事制限と運動を続けないと、リバウンドしてしまうようです。Aさんも、気がゆるんだ3年目に10キロリバウンドしています。
胃の容積を100mlにしても、少量ずつちょこちょこ食べたり、少量でも高カロリーな糖分や脂質をちょこちょこと頻繁に食べたりしていれば、1日の総摂取カロリーはそれなりの高さになってしまいます。
胃スリーブ手術で多少は痩せられても、結局は自分の意思の力で、食べる量を制限しなければ、リバウンドしたり、小太りのままそれ以上痩せなかったりするようでうす。
頻繁に嘔吐する
Aさんの胃の容積はスリーブ手術で小さくしたため100ml。ですから、一度に100ml以上の食べ物、飲み物を体内に入れることができません。ですが、やはり人間ですから、あともう一口食べたいと思ってしまうこともあります。
そして、そのあと一口を食べてしまうと、胃が受け付けずに吐いてしまうそうです。Aさんの場合も、胃スリーブ手術をしてから5年経っているのに、まだ自分の食べていい量が分からず、一口多く食べてしまいがちだとのことでした。あるいは、分かっていても「食べたい欲」に負けてしまうようです。そういった時は、口に指を入れて吐く行為、つまり「過食嘔吐」を行なっているそうです。
そういった理由から、術後5年過ぎた今でも1週間のうち2回~5回は嘔吐しているそうです。人間、人生に一度くらいは嘔吐したことがあると思いますが、嘔吐とは非常に苦しいものです。その嘔吐を一週間に2~5回というのはかなりのデメリットなような気がします。
胃食道逆流症になる可能性が
Aさんは、胃の容積を100ml、つまりカップ半分くらいまでに小さくしたため、胃から口に食べ物が戻ってくる「胃食道逆流症」になってしまったそうです。
これは、薬で対処するしかないらしく、Aさんは手術をしてから5年間ずっと、逆流性食道炎の薬を飲み続けているそうです。
ダンピング症候群になる可能性が
ダンピング症候群とは、ダイエットやガンのために胃を切除した人に起こりやすい病気だそうです。
胃を切除したため、体内での食べ物の流れが変わることで、これまで胃の中を通っていた食べ物が直接、一気に腸に流れ込むため様々な不快な症状が起こる病気です。
具体的な症状は、激しい腹痛、めまい、動悸(どうき)、発汗、頭痛、手指の震えなどです。
食べられない食材ができてくる
Aさんの場合は、若い人には胃のスリーブ手術を勧めないとおっしゃっていました。なぜなら、胃のスリーブ手術を行うと食べられないものが複数できて、「食の楽しみ」が失われてしまうからだそうです。
Aさんの場合は、揚げ物などの油物、大豆、豆腐、納豆、小麦粉のうどん、ラーメンなどが食べられなくなったそうです。なぜ、食べられないかというと、消化が悪く、気持ち悪くなり、吐いたりしてしまうからです。
まとめ
Aさんの胃スリーブ手術体験談の動画を見ていると、「若い人にはおすすめできない。」と言っていて、妙に納得してしまいました。
胃スリーブ手術は「痩せられる」とメリットに対して、その後の後遺症の多さなどのデメリットが大きすぎると感じるからです。
Aさんは動画の中で、「歳をとると失敗してやりなおしてということに慣れているから、胃スリーブ手術をして後悔はしていない。」といった趣旨のことを言っていらっしゃいました。
それは、やはりAさんの気持ちの中のどこかしらで、胃スリーブ手術後の後遺症を「失敗だった」と受け止めている部分があるからではないかと思えました。
私も過食症で体重の増加が止まらず、一時は減量手術を考えたこともありました。ですが、様々な減量手術体験談をインターネットで読むたびに、術後の後遺症にはかなりの苦痛を伴うと知りました。
色々と調べていると、結局は食事制限と運動の正統派ダイエットをするほうが、結果的には「ラク」なのだと思わされたAさんの減量手術体験談でした。
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