そもそも代謝って何?
代謝(metaboilsm:メタボリズム)とは、生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のことです。さまざまな栄養素が合成・分解されていく過程のことを指します。
世間で一般的に「メタボ」と呼ばれているのは、この代謝が上手く働かなない「メタボリックシンドローム」、つまり日本語に訳すと「代謝不良症候群」のことなのです。
体は、酸素や栄養素を体外から取り込み、消化・吸収して活動に必要な物質やエネルギーを生み出します。もう片方では、体内の活動で不要になった老廃物を外に排出しています。このように、体内の化学反応によって物質が変化することを、代謝といいます。
私たちは生命を維持していくために、呼吸により酸素を取り込み、食事により栄養素を得ています。私たち人間の生命維持では、このうちどちらが欠けてもエネルギーは生み出されません。私たち人間は栄養素を酸素で酸化して、効率良くエネルギーを得ているからです。
代謝は、腸管から吸収された栄養素から体内で必要な物質を生成する同化作用と、一度生成した物質を分解してエネルギーを生み出す異化作用(いかさよう)の2つに分けられます。
代謝の種類
代謝の過程を物質の面からみた場合を「物質代謝」と呼び、エネルギー変化の面からみた場合を「エネルギー代謝」と呼びます。物質代謝には異化と同化の2つの過程があります。エネルギー代謝には基礎代謝・活動代謝・食事誘導性熱代謝の3種類があります。
物質代謝
- 異化(catabolism)複雑な有機物を、より単純な化合物へと分解して、生命活動に必要なエネルギーを取り出すことです。ブドウ糖・脂肪酸・アミノ酸などを分解して、エネルギーを取り出すことを指します。
- 同化(anabolism)より小さい分子から、より大きい分子をつくり出す合成作用のことです。異化と逆の過程と考えると分かりやすいでしょう。異化によって生じたエネルギーなどを用いて、生体に必要な分子を合成します。
エネルギー代謝
エネルギー代謝の側面から見ると、代謝には3つの種類があります。
- 「基礎代謝」:肺での呼吸、心臓の筋肉を動かして血液を循環させる、体温の調整、便を体外に出す蠕動運動、体を動かすための筋肉の緊張など、生体の基礎機能維持に必要な代謝。
- 「活動代謝」:体を動かすことによってエネルギーを消費する代謝。
- 「食事誘導性熱代謝」:食事をすることによってエネルギーを消費すること。食物を噛む、食物を腸で消化吸収するなど、食事に関わる生体の働きによって、エネルギーが消費されることを指します。
ダイエット知識としての代謝
上記の通り、エネルギー代謝には3つの種類があります。
- 基礎代謝とは生命維持のために消費するエネルギー
代謝全体の約60~70% - 活動代謝とは体を動かすことに使うエネルギー
代謝全体の約20~30% - 食事誘発性熱産生とは食べ物を消化するため使うエネルギー
代謝全体の約10%
これらのことを踏まえると、代謝全体の60%を占める基礎代謝を上げることが一番効率の良いダイエット方法だといえます。
では、基礎代謝を上げるにはどうしたら良いのでしょうか?
- しっかり食べる
- しっかり運動する
基礎代謝を上げる方法は、この二つの方法に集約されます。
まずはしっかり食べることですが、しっかり食べることは基礎代謝を上げるというよりも、基礎代謝を下げないために必要な行為です。摂取カロリーを下げた状態を続けると、ホメオスタシス(恒常性)という作用が身体に生じ、低い摂取カロリーでも通常通りに体を動かせる省エネモードの体になってしまいます。こうなると、基礎代謝が下がってしまいます。さらに、少ない食事量にすることで、食べ物を消化する際に使う「食事誘発性熱産生」の発動も少なくなってしまうため、より痩せにくい体になってしまうのです。ですからしっかり食べることは大切なのです。
運動に関しては、運動をすることによって体に筋肉が付くことが重要となってきます。筋肉は動かす際にかなり多くのエネルギーを必要とするため、筋トレなどで体の筋肉を増やすと、おのずと基礎代謝が上がります。
ですが、一説によると「基礎代謝」のほとんどは内臓の活動によってエネルギーを消費しているため、筋トレで筋肉を付けることは、ダイエット面ではそれほど重要ではないという説もあります。とはいえ、基礎代謝のうち18%は筋肉が担っており、他の内臓が鍛えて増やすということが出来ないのに対して、「筋肉」だけは自分の意思で増やすことができるので、運動が全く無意味であるとまでは言えません。
まとめ
ダイエットで注目されがちなのは基礎代謝ですが、代謝にはいろいろな種類や側面があると、この記事で理解していただけたと思います。別の記事では、ダイエットで重要とされている基礎代謝の上げ方についても書いてみたいと思います。
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