タイ料理店での勤務経験
私は、とある都市の高級タイ料理屋さんで働いていたことがあります。一皿3000円程度で地方都市にしては高級店で、地元の自動車製造会社のCEOが食べに来るくらいには美味しいお店でした。ちなみに、このご時世、地方都市では生き残りが難しく、そのお店は閉店してしまいました。
色々な具材が入っているトムヤムクン。実は残すべき具材があることをご存知でしょうか?トムヤムクンの中にはスープの出汁を取るだけの食材と「具」として食べる食材の二種類の食材が入っています。例えるなら、いりこだしのいりこが取り除かれないまま、シチューでブーケガルニが取り除かれないまま料理が食卓に運ばれてくるといった状態なのです。ですから、ホール係だった私はお料理を配膳する際に、「(だし用なので)食べない食材」を説明しなければいけなかったんです。
では一体、どの食材を食べて、どの食材を食べないのが正解なのでしょうか。 どれが食べられない具材なのかわからず、食べ残した感じになって食事を終了していませんか。
一応、地方都市にしては高級店ということもあり、お料理を配膳する際には、料理名、使用している材料、調理法などをお客様に説明していました。その説明の中で一番長かったのがトムヤムクンの説明です。
あなたはどの食材を食べて、どの食材を残していますか?また、本場タイ人の方はどれを食べてどれを食べないのか、お分かりでしょうか。
トムヤムクンの具材
- エビ
- 紫玉ねぎ
- ふくろたけ(又は、しめじ)
- パクチー(コリアンダー)
- レモングラス
- カー(タイのショウガ)
- 唐辛子
- バイマックル(コブミカンの葉)
具材の説明
一般的なトムヤムクンに入っていそうなのは、このくらいでしょうか。日本でもよく知られている具材は置いておいて、日本で見慣れない具材について説明しておきますね。
パクチー
ハーブの一種で英語ではコリアンダーと呼ばれています。タイ料理が嫌いな方は、パクチーの匂いを嫌う人も多く、その匂いの強さに「カメムシみたい。」と言う人もいます。
レモングラス
こちらもハーブの一種です。ミントやレモングラスは比較的育てやすく、雑草のような生命力なので自宅で育てている人も少なくありません。トムヤムクンの中に入っている木の枝のような固い物体がレモングラスです。乾燥してあるため、固い繊維質です。
カー(タイのショウガ)
トムヤムクンには少し厚めの輪切りで入っていることが多いですよね。ショウガなので、やはり繊維が太くて固いですね。
唐辛子
見た通り唐辛子です。日本でも辛い料理には輪切りにして入っていたりしますよね。
バイマックル(こぶみかんの葉)
こぶみかんという柑橘系の樹木の葉です。ローリエの葉の形を丸く厚ぼったくした感じの見た目です。
ふくろたけ
私の勤めていたお店は本場の味にこだわっていて、本場同様に「ふくろたけ」が使われていました。ただ、ふくろたけは日本では手に入りにくいのか、高いのか、最近は、しめじで代用されることが多いみたいですね。
トムヤムクンはどこまで食べるの?
タイ人でも全部の具材は食べません。本場タイ人の方に聞いてみたところ回答は以下の通りでした。
食べるもの
エビ、紫玉ねぎ、ふくろたけ(又はしめじ)、パクチー
食べないもの
レモングラス、カー、唐辛子、バイマックル
日本のタイ料理店でトムヤムクンを食べる場合
私の勤めていたタイ料理レストランでは、基本的に「レモングラス、カー、バイマックルはだしを取るために入っている食材ですので、お召し上がりにならないでください。」と、ご説明していました。唐辛子も辛いので食べないほうがよいとはすすめていましたが、お好きな方は食べていましたね。
タイ人でも食べないような固い食材を食べて、トムヤムクンを嫌いになってほしくないという意図もあって、丁寧に説明していたのですが、それでも全部食べてしまう方はいました。説明を聞いていなかったのか、日本人特有のもったいない精神で食べてしまうのかは分かりませんでした。
日本人の方はトムヤムクンの「食べない食材」を説明をしても、比較的に柔らかい唐辛子とカー(ショウガ)は食べる傾向がありました。さすがにレモングラスは木の枝のように固いので食べる方は少なかったです。ただ、少ないとはいえレモングラスを食べる方もいました。食べ物を残すのが嫌いな方だったのかもしれません。
まとめ
タイ人が食べないのは以上4種類の食材です。ですが、タイ料理店で働いていた経験からすると、「食べないほうがいいよ。」と説明されても食べてみたいなら、食べてもよいのではないかと思います。
レモングラスは食べないものだと知らなくて、「トムヤムクンは具材が固いから嫌いだ。」となっては困るので、一応、食べないように説明はしていましたが、それでも食べたいなら、好きなように食べるのがベストだと思います。実は私自身も食べ方を指定してくるお店はあまり好きではなく、「好きなように食べさせて!」と思ってしまうタイプなのです。ですから、興味本位でかじってみたいならそれもありかな?と思います。
ただ、日本人からよく聞く外国での食事の失敗として、英米の軽食は自分で(塩・ケチャップで)味付けすることを知らずにそのまま食べて「味がしない」と嘆くというお話があります。実際には塩をつけたりケチャップやマスタードをつけたりすればおいしいのに、それを知らずに味が薄いと思い込んでがっかりするような失敗をしないように、他国の料理を食べる時は、多少の予備知識があったほうが良いかもしれないと、私は考えています。
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