梨本来の味をしっかり楽しもう!
9月になると、毎年、段ボール箱いっぱいの梨を送ってきてくれる知人がいます。今年も、たくさんの高級梨が届きました。せっかくの贈り物ですので、素材の味をしっかりと丁寧に味わっていただきました。食材の味、かたさ、食感、香り、形などを五感を通して感じ、覚えることで、お料理をする時も良い素材を選ぶことができ、おいしいお料理を作れるような気がします。特に、低所得の我が家では高価な食材は贈り物でいただいたり、特別な日に奮発して購入したりした時にしか口にすることがないので、しっかりと舌先に味を覚え込ませたのでした。
梨の種類
梨には大きく分けて和梨、中国梨、洋ナシの3種類があります。日本の一般的なスーパーなどで販売されている梨はほとんど和梨と考えてよいでしょう。さらに和梨には「幸水」に代表される皮の色が黄褐色の”赤梨” 系の梨と、「二十世紀梨」代表される色が淡黄緑色の”青梨”系の梨の2種類があります。日本で生産量や流通量が多く、最も身近な梨は「幸水」や「豊水」で、これらの梨は「新水」とともに梨の「三水」と呼ばれ、昔からおいしい梨として親しまれています。
豊水梨の色と形
豊水梨は平均の重さが350g~450gと、少し大きめになる品種です。ふっくらとした女性的な丸みを帯びていて、お尻が広く、皮はザラッとした感じ(果点コルク)があります。梨は品種によって、色が茶色っぽい方向にに寄っていたり、緑がかった方向だったり、黄色がかった方向に寄っていたりしますが、豊水梨は黄色寄り(赤梨)で、透明感のある色をしています。
豊水梨の味
・幸水の糖度・・・市販の平均的な糖度は12度前後。
・豊水の糖度・・・市販の平均的な糖度は12.5度前後。
「豊水梨」は、秋口(あきぐち)に収穫される梨のようで、みのりの秋と言うだけあって、含まれている水分量が多く、みずみずしく、しっとりしていて、柔らかい。さくっと噛むと、じわーっとだけでなく、ふんわりと果汁が口の中に広がる感じが非常に良いです。甘すぎず、程よい甘さで、適度なバランスで酸味が加わることで、糖度以上の甘みを感じることができるのが特徴です。全体的に濃厚な味わいです。果肉はやわらかで果汁が多く、梨特有のシャリシャリとした食感も楽しめます。果肉のやわらかさ、果肉の細やか、果汁の多さが絶妙なバランスです。幸水梨と比較すると少し大きめのサイズで、「豊かな水」という名前通り、幸水梨よりジューシーです。
豊水梨の旬
豊水梨は北海道と沖縄以外の全ての都道府県で作られているため、地域によって収穫時期が異なり、比較的長い期間、一般に出回ります。一般に出回る時期は8月下旬から10月初旬までですが、旬の時期は9月です。
豊水梨の選び方
ここでは豊水梨の選び方について箇条書きにしてみたいとおもいます。
選んで欲しいもの
- 丸みがある。
- ふっくらとしている。
- お尻(下の方)の部分が太っている
- 皮に張りのある。
- 全体がほどよく赤みがかっている。
選んでほしくないもの
- 傷がある。(傷みやすい。)
- 皮がしんなりしているもの。(鮮度がおちている。)
- 触ってやわらかくなっているもの。(鮮度が落ちている。)
- 同じ大きさなら重く感じるほう(果汁が多い。)
豊水梨の日持ち
新鮮な豊水梨で、適切な保存方法で保存すれば2週間程度は日持ちします。 豊水梨は幸水梨より長く日持ちします。
豊水梨の保存方法
保存方法として一番大切なのは乾燥させないこと、冷暗所で保存することです。新聞紙で包んでポリ袋に入れる、または野菜保存用袋に入れて冷蔵庫で保存します。あれば、野菜室で保存するほうが良いでしょう。冷蔵庫がいっぱいで入らないときは、涼しい時期であれば冷暗所での保存も大丈夫です。ただ、日持ちする期間は短くなります。豊水梨は新鮮なうちに食べたほうが、みずみみずしくシャリシャリ感が強いので、なるべく早く食べることをおすすめします。
梨の芯の方に近い白い部分は酸味がとても強く、固く、チクチクする食感なので、白い部分はしっかり取り除いて食べるのが、おすすめです。
豊水梨の栽培地
豊水は、全国で幸水の次に多い生産量を誇る梨です。沖縄と北海道を除くすべての都府県で栽培されており、平成24年産の全国の豊水の栽培面積では、千葉県、茨城県、福島県の順に生産量の多い地域となっています。
ちなみに、私がいただいた豊水梨の段ボール箱には、「埼玉県果実連」と書いてありました。果実に力を入れた農家さんたちが作ってくださった梨なのかなぁと推測しました。果物はしっかりお手入れをしてあげないと、おいしく育たないので、果実農家さんが愛情を込めて育ててくださったお品なのだろうと感謝とねぎらいの気持ちでいっぱいになりました。
豊水梨の親
豊水梨の親は「幸水」×「石井早生× 二十世紀」